7.03.2014

ちょっとした話

 先日同世代の働く女性達と食事会をしてきました。同い年なのに世界をまたにかけてガンガン活躍される彼女たちがとっても美しくて激しいショックを受けました。彼女たちは正義感と野望に充ちていました。昔働いていた職場に今の自分の働きぶりをみせてぎゃふんと言わせたいとか、戦争をなくしたいとか、女性が働ける環境をもっと増やしたいとか、世界中のあらゆる問題に対して全力で解決に向かおうとする姿をみると、私のしている事がとても無意味に見えてきました。
だって美術がなくても世界は回るし、現実的には何の問題も解決しないもの。
良くて美術史の歴史の一ページに自分の名前が載るかもしれないだけ。作品を作りながら私って何のために生きてるんだっけ?と苦悩する日々も珍しくありません。
そうやって悩んでいたある日ふと自分の日記を読み返したら、お前なに考えてんだ?そんな事ないだろ、元気出せ!みたいな文章が残っていました。
 それは学生時代、作品の講評をしてもらった先生に「君の作品は発言力が強いから政治家になったほうが向いているのではないか」と言われた時のことです。私は強く反撥しました。そして『同世代の女性の代弁者となって作品で思いを表現したくても、社会にまで訴えて世の中の制度を変える気はない。』とはっきり否定しました。私は、アートはどんな時でも無力だとしっかり理解した上で、時代を反映した作品を作り続けたいと訴えたのです。そこには政治家にはできない、人々を救済できる力が作品にはあると確信していたからです。
当時を振り返るとこれは根拠のない自信にほかなりません。しかし当時たまたま読んでいた魯迅の小説の中で「本質的な問いかけや時代を反映した表現が出来たとき、その抽象的なメッセージこそ人々を救済に導けるという」というような文章を読んで励まされた事が自信を確信にしてくれたんです。

あれから3年経ったけど、色んな人に刺激をもらってきたはずなのに昔の情熱を一瞬でも忘れてた自分が恥ずかしくなってきました。
社会にとって無意味で無価値でも、私や私の周りのだれか、あるいは全然しらないどこかの人々の心の救済に少しでも繋がる作品が一つでも出来ますように。
そして輝く同世代の友達に胸を張れる仕事を続けたいとおもいました。


BGM:Arctic Monkeys - When The Sun Goes Down

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